JALがオーバーブッキングやらかしたのは今話題なんでそのあたりの用語を知ったかしてみたいひと必読

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JALが羽田福岡でオーバーブッキングやらかした

すでにニュースでご存知と思いますが、先日JALが羽田福岡オーバーブッキングやらかしました。事後解説として、航空評論家系先生の解説があり、上手かつ簡潔に説明してさすがだなと感じています。異論はさむ余地ない。しかし、むしろ、航空ヲタとしては

「なんでオーバーブッキングあるんだ」

「どんなふうにオーバーが作られるのか」

というインテレクチャルは話題のほうがお好きな方多いとおもいます。

航空予約の仕組みとかみんなさんほんとお好きで、自分航空イールドマネジメント部長さんとか、自分航空販売戦略部長さんが散見しますが、なんかちがうぞ、という用語が流通しているあたり、ほんとにそこに携わった人が発信していないんだなと常々感じていますので、不肖BKS-BBAがおおざっぱに書いてみたいとおもいます。

お断り~知識が古い可能性が高いです。ただ、調べると考え方はほぼ変わっていないので、おおもとはあまりズレていないとおもいます。

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高いものだけ売ればいいのか

大前提の話ですが、なぜイールドマネジメント(レベニューマネジメント)があるのかということから始めましょう。

よく航空座席に関して、高いものだけ売ればよい、という話をする人がいますが、実はそれは偏っています。例として、一人20万円の運賃が売れるならば、2人で15万円の運賃を売るよりよい、という話です。その言い分ももっともです。しかし20万円の座席しか物理的ないフライトはそれでもいいですが、現在の商用飛行機は2~4クラスで運用しており、高いほうだけ売って、うしろすかすかでいいんですか、という話。また世の中のひとが20万払いたがってるひとだけですか、という話もあります。航空会社としてはその両方欲しいというところ。現実問題高い方だけでは売り切らない時代です。航空運賃の低下、ヒトの流通の多様化など理由がありますが、高運賃、低運賃、まとめて、フライトごとに儲けがでてほしいという考えを採用しています。出発日に満席に近いものを目指して、適時販売機会を失わないためにイールドマネジメントがあります。

そのために、過去のデータを用いて、出発日まであと何日あるか、ということを基準に、出発日にもうけがマックスになるようにコントロールしていく。それがイールドマネジメントです。さらに加えると、機材(キャパ)、予約クラスのヒエラルキーなどがコントロール要因です。予約クラスに関しては、入ってくる収入のデータが組み込まれています。

これは、ホテルも使っていて、むしろ、航空会社の数よりも、ホテルの数のほうが多いので、イールドマネジメントやレベニューマネジメントのプロはホテルの背景をもって活動してるひとが多そうです。実際、今回記事にするにあたり、参考になるネタはやはりホテル背景の人のものでした。

なぜオーバーブックするのか

航空座席は、出発日を境に、在庫が効かない商売です。在庫が効かないということはその当該日までにいかに座席を埋めていくかということが収入(収益)をあげるキモであります。よって、販売予測をたてて、発売開始日(travel date – 355daysくらい:各社設定可能)から、いや、実際にはその前から戦いは始まっています。基本は当日来ない人や、それまでのキャンセルを見込んでキャパを超えて予約を受け付けます。それがオーバーブッキングです。

オーバーを適正に作るために、発売開始日の前には、管理システムにカレンダーを読み込ませて、前年までに蓄積した販売数の動きを教えます。チェックポイントとして、

曜日、祝日、その路線が固有に持つ祝日の動向

があります。たとえば、日本だと、もうだいぶばらけてきましたが、GW、お盆、年末年始は人が動くので需要が高いと見込んでそのようなデータをインプットします。(それは、航空運賃のピークショルダーとかとは別の話)中国線だったら、国慶とかですね。そこは、システムに「ここ平日だけど違う動きをするよ」と教えてあげます。そういうインディケーターがあります。

それ以外にも、人が大きく移動する特定なイベントなど(オリンピックなどスポーツ系、博覧会)もシステムに教えてあげます。方法はいくつかありますが、発売開始前からフライトをブロックするのも一つの方法です。

縦軸販売座席数、横軸出発日までのマイナスデートという販売数推移の座標を考えると、注視しなければならないのは、だいたい60日くらい前からでしょう(weekで考えるので-56日くらいから)。そこまでは、過去の動きとおおきくはずれていないか簡単なチェックだけで十分。これは、今実際に内航のドメの販売運賃の区切りにも似てるんじゃないでしょうか。

その時点で、フライトは2種に分かれます。

その60日くらい前から、フライトは2種に分かれます。スピレージがでちゃいそうなフライトと、スポイレージがでちゃいそうなフライトです。この用語、覚えているとかっこいいので使ってください。

もちろんどのフライトも満席が理想ですが、まあ、90%の搭乗率があったらそれは「ほぼ満」としたうえで、スピレージはspillageで、こぼれちゃうってことで、オーバーブッキングがクリアできないような状態、つまり、販売機会が失われているフライトです。これは、追加して売るよりも、オーバーをクリアすることのほうに注視すべきという考えもありますが、そこは貪欲。万が一、クリアできなかったときの損失と、販売機会を与えることによって得る利益を比較していきます。

例で言うならば、オーバーしていても、VALUEは売らないけれど、ノーマルは売る、ということで、予約クラスのヒエラルキーがしっかり構築されていたら、そのあたりも自動で設定されていくとおもいますが、そうじゃないケースも見かけます。

このようなフライトは、ポイントごとに変曲点を持ちながらも、販売座席数の座標は、右下がりの曲線を描きます。この変曲点のデータを蓄積して将来も予想していきます。(変曲点のポイントとしては、キャンセルチャージが大きな要因です。〇日前までキャンセルOKという料金ならば、顧客はキャンセルチャージがかからないようにしたい。)

適正なコントロールがなされているとよいデータが蓄積されて、ダサいコントロールがされると、それは負のデータとなってしまう可能性があるので適切なモニターが求められています。

逆にスポイレージspoillageが出そうな場合は、空気座席を多く運ぶことが予想されているので、販売数の座標を右肩上がりにしていかなければなりません。対策として、セールなどで販売戦略をかけるなどがあります。セールでは、予約システムとしては、下位予約クラスの開放ということとなり、そのデータとして蓄積されていきます。(次年度は、このポイントではもっと早く売り出しをかけよう、とシステムは考えます)

そのモニターは出発日が近づくにつれチェックが厳しくなります。時によっては予約記録の洗い出しのようなこともするかもしれません。そして、出発当日になるべく座席が埋まるように努めていくのが腕の見せ所です。ただ、国内線はフライト数が多いので、いちいち一便一便細かくチェックした上で、空港に引き継いでいるかというとそのあたりはかなり疑問は残ります。だからこそ見落としもあったのかもしれませんね…。

まとめ 大型機でマイナス20がクリアできるか

おおざっぱなイールドマネジメントの知ったか用語と流れを書いてみました。個人的にこういうドメのフライトの中身は見たことないんでよくわかりませんが、昔の747で国際線でもマイナス20で空港リリース、オーバークリアというのが日常茶飯事だとはきいたことがあるので、できなくはないのかもしれませんが、カレンダー要因やその日の最終便であったことを考えると、なかなか厳しいのかもしれないですね。(個人的に携わったものではマイナス20してたら体育館の裏に呼ばれたとおもいます)

さらに言うならば、JALドメのほうが、ANAドメより、ラストミニッツでの販売をあきらめている(=損失を嫌う)傾向にあると感じていたので、今回のマイナス20というのは、かなり疑問が残る事象だと感じてます。本当にだれかのミスだったのかなーーーと。

そのあたりはもちろんどちらでもいいこと。自分航空会社ではないので。ただ、実際に予定変更を強いられた方は大変だったなということと、お見舞い金20Kは安いな、というふうに感じました。とは言え、損益分岐はきちんとチェックしたうえでのマイナス20なら、企業の姿勢としてはナシとは言えないなと。もちろん、公共交通機関としてはどうなの?という疑問は多く残りますので、しばらくは担当さんは叱られた上で、今後はきっとしっかりしたモニターをするのではないかと推測します。