航空会社に勤めていると言うと
尋ねられる質問がいくつかありまして、かなり定型化しています。
- 「えー、CAさんなのー?」「スチュワーデス?」←古っ
- 「えー、グラホさんなのー?」
- 「パイロットと付き合えるの?」
というステロタイプなものをすべて、「NO」で答えると、次に申し訳なさそうに尋ねられるのが、
「職員の割引ってタダみたいなものなのでしょう?」
というやや下世話なネタになることが多いです。でもそういうことほど気になるのがこれまた人間のサガ。今日は、BKS-BBAが知ってる範囲、かつ、ネットで簡単に検索できる内容(≒秘匿事項とはみなせない)、とくに自社便以外の割引に関することをまとめていきたいと思います。
ID、EF、ZED あいでぃー、いーえふ、ぜっど運賃
航空会社職員割引は、スタッフトラベル(STAFF TRAVEL)というのが英語圏では一番通じやすい名称ですが、会社やその時によって、呼び名がいろいろあります。自社便を乗る時と、他社便を乗る時にはルールが異なります。自社便に関してはもう会社によって千差万別。なのに、なぜか他社に乗るときはほぼ世界で共通のルールを用います。その名称が次のとおり。
ID Industry Discount 業界割引
Interline Discountと言い張る方もいますが、インダストリが正解と思われ。これは原則二社間で契約をします。バイラテラルな契約です。その契約の利用条件の細かいことは後に示すサイトでご覧いただけますが、IDのうしろに数字2ケタで割引を示します。ID90は90%の割引ということをさします。ノーマルYからの割引です。たとえば、正規運賃が50万円エコで設定されていたら、5万の運賃です。
ID90、ID75、ID50という順で設定されることが多く、たいてい、50になると座席を確保できますが、90、75は「空港で空席があったら」という条件のsubject to load(搭乗・搭載条件による)と呼ばれ、それが、通称「sublo:サブロー」と呼ばれます。
これが、本当に無情で、2人で待っていて、1席しか空席がない場合、
「you go、you stay(あなたは行けるけど、あんたは居残り)」
と指差されつつ、居残りの刑な辱めを受けた友人もいます。
BKS-BBAは自慢ですが、サブローが無敵だったので、ことごとくくやしい目に遭った友人たちからは「サブロー教の教祖さま」と呼ばれ、香港の赤柱で買った変なおみやげをお守りとして下賜したことがあります。(だから何?笑)
EF Employee Fare?
これは内航の方しか使わないので、正式な由来を存じ上げておりませんが、あまりにも堂々と使われているので、社内用語であるということが忘れ去られています。社内的にいろいろルールがあるようですので詳細は該当者におたずねいただくのが良いと思われます。
ZED Zonal Employee Discount ゾーン制従業員割引
これはバイラテラルな契約というよりも、このZEDのシステムに加入する航空会社はみんな仲良し、共通ルールで社割やっちゃおうぜ、という比較的新し目のシステムです。
運賃は距離制になっています。一つの旅程に何社まで切り込めるかどうかは、BKS-BBAは良く知りません。
ご利用の際の注意
ただし、このいずれも各社間の割引率のお約束に加えて、「利用する際のルール」がかなり細かく設定されています。それを垣間見れるのがこちらのサイト。
細かい作法は割愛しますが、当ブログは機内食クラブ、機内食に関することですから、機内食に関する注意をあげている例を一緒にみてみましょう。
上記サイトで、JALを選んでみましょう。そこから抜粋すると、興味深い文言があります。
-JL727(KIX/BKK)
Please be advised that even if the seats of the JL727(KIX/BKK) are available, there are some cases that staff travellers may be rejected to check-in because of the meal order time limit.
スタッフトラベルで利用する際、古典的なやり方は、
リスティング(搭乗の意思を登録)→ 空港にてチェックイン → 空席があれば乗れる
という流れなのですが、昨今はリスティングを省略することも多くなっています。いわゆるリコンファームがなくなったことに似ています。なのに、JALいわく、KIXに関しては、空席があったところで、機内食のオーダーが間に合わない場合は乗せませんよ(だからリスティングして、ちゃんと間に合う時間に空港にショウアップしてチェックインしてね♪というやや反語系)と書いてあります。
こうなると「飯なくてもいいから乗せろ、乗せろ」と思うのですが、これは明記されている以上、お断りする理由になるわけです。こわいですねぇ。
そして、よしんば無事に乗れた場合でも、さらにラッキーにもビジネスにアップグレードされたとしても(ほぼレアケースになってきましたが)、食事の選択は、
「スタッフは後回し」
とする会社はちらほらあります。そういう時は、笑顔で、OKと言って、残り物には福があると受け止めるくらいの耐性がないとスタッフトラベルは使えません(笑)。
もし、このテのお話に興味がおあり、また、他の割引をいろいろとお知りになりたければ、「staff travel id」あたりを入力して検索されると良いと思います。サイトやアプリもあるようです。
ええ、勘の良い方は気づかれたと思いますが、スタッフトラベルは最終的に空いているか、どうかが問題なので、たとえば特典航空券がキャン待ちから落ちてくるか、とか、アップグレードがいけるのかという情報は、スタッフトラベル系のアプリでおおまかな動向がつかめることになると思います。ご自身の責任でご活用なさってみてください!
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